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2015読書 |
![]() | 悪人 (2007/04/06) 吉田 修一 商品詳細を見る |
何か凄い小説でした。
題からもすでに強いメッセージを感じますが。
若い女性が山の中で殺害され遺棄される。その事件を追うマスコミが彼女の交友関係を調べ上げ、犯人像を打ち立て、世間の人はテレビの前で想像する。今の世の中恐ろしいことに日常となっている。
この小説の表層だけをとらえれば、まさにそんな事件から始まる。
『悪人』は、犯人と決まっていて凶悪犯と呼ばれる、普通は。
ところが、読み進めると一体誰が『悪人』なのか分からなくなる。
殺された女性と犯人、そしてその二人に関わりのある親、恋人、親戚、友人、職場の人間、ただの知り合い、その知り合いの知り合いと人間関係が広がっていくが、登場する普通の世間一般の人々が全員『悪人』に思えてくる。
また反対に気持ちの上では全員が『善人』にも捉えられるという不思議なカオスに陥ってしまうのだ。
人間というもの、普通の人々も悪人でもあり善人でもある。
一人の人間の中には善悪が必ず表裏一体、両方の性質を持っているという事実が突きつけられる。
自分は善人である、と普段思っている私も悪人であった。
忘れがちだけど事実だ。
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吉田修一
引き込まれる小説ですよね。映画も良かったです。
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ニュースで観る事件にもこんな背景があるのかなと
思ってしまいます。
善悪について考えさせられました。